瓦屋根の葺き替え工事|自分で修理をするという選択肢
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TweetAMBESSA&CO / Abyssinia
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木・金 15:00 - 18:00
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[ DIY ]
文と写真 KIMISHIMA Yuya
on 2019.09.22
キーワード :
- 瓦屋根,
- 葺き替え,
- 工事,
- 2019年台風15号,
- 自然災害,
- 復旧・復興,
こちらの記事は南房総のオーガニックドライフルーツ・ナッツ・オーガニックフード専門店 AMBESSA & CO の君島氏により、執筆された文章と写真になります。
9/9に千葉県を襲った台風15号の被害からちょうど2週間が経過したタイミングで執筆されました。あれからふた月が経ち、今一度読み返すとさまざまな示唆に富んだ内容となっておりますので寄稿をお願いし、ご快諾いただきました。ここに改めてご紹介させてください。(今は隣の建物の屋根を直しているそうです)
台風被害に遭われ、被災されてしまった方々に心よりお見舞い申し上げます。
また、復興に向けて復旧作業をしていただいているボランティアの方々、自衛隊、電力会社の作業員の方々、そして、支え合い、助け合い、力を合わせてくださっている南房総の皆様に心より感謝申し上げます。
台風の被害が発生してから、2週間が経とうとしています。
今回の災害から何を学び、どの様に自然や災害と向き合い、未来に繋げていくのかを、私たちは問われている様な気がしてなりません。
個人的なことをポストするのは、あまり趣味ではないのですが、復興に向けて何か共有できることがあればと思い、この様な内容を投稿させていただきます。
今回の台風で私たちの家屋や建物も屋根瓦が飛ばされ、壁が壊されたりしました。私はブルーシートなどで応急措置をするのではなく、瓦を降ろして、屋根を葺き替えました。この作業に要したのは、一人で作業をして数日間です。
これは私が10年前に東京から南房総に移住をし、古民家を補修しながら生活をしたり、店舗を自力建設で造った経験があったから、早急に対応できたのだと思っております。
今後、災害は次のフェーズへと移行し、応急処置のメンテナンスを継続しながらも、本格的な修理をどうしていくのか考えていかなくてはなりません。
業者が決定的に不足している状況の中で、修理の順番が回ってくるのは1年先なのか2年先なのかは、分かりません。
私の様な現役世代の方には自分で修理をするという選択肢を持ってみても良いかと思っております。
私は建築の専門職では無いので、正確な情報を伝えることが出来るのか分かりませんが、自力建設・自力修理に向けて、アドバイスやサポートをすることはできるかと思っております。
加えて、大工の棟梁や建築家、セルフビルダーの繋がりもあり、その方々にお願いをすれば、必ず力になってくれます。
10月の初旬には瓦屋根の葺き替えのワークショップの開催を企画しております。
住居や納屋、小屋などの建築、修理は大工さんや建築関係の従事者しかできないのでしょうか。
野菜やお米などの食料は農家さんだけが作る物なのでしょうか。
生きる為に必要な物はお金でしか得られないのでしょうか。
何かを失ってしまった時に、何を選択し、どう行動をするかというのは、とても重要なことだと思います。
私にご協力できることがありましたら、微力ながらご協力させていただきます。
屋根の葺き替えの画像を確認して、ご不明な点などがございましたら、お気軽にお問合せください。
共に前を向いて、歩んでいきましょう。
台風の南風により、南側の軒先、妻側、棟の瓦が落ちていました。

南側の屋根妻側の瓦が全て落ちる。

瓦屋根は垂木、桟木、杉皮、瓦土、瓦桟木、瓦の順に屋根に施工されている。安全を確保しながら、屋根瓦を降ろしていきます。

屋根瓦を降ろした状態。

安全を確保しながら、順々に降ろしていきます。


瓦土を降ろし、垂木、桟木が露出した状態。

横方向に置いてある桟木は高低差を生むので全て取り除き、垂木を露出させます。


棟側(上)から軒先(下)に向かって野地板を施工していきます。軒先は最後にはります。

屋根の上り下りを少なくする為に必要な道具は屋根上に上げ、腰袋などを活用する。

垂木の上を渡るのは危険です。ベニヤ板や野地板などを利用して、重量が分散するようにします。細い垂木の上に乗らない様にしてください。桁や梁などの太い材の上で移動したりしてください。

道具やコードが落下しない様にビスに掛けたり、色々と工夫をしながら作業を進めます。


芋継ぎ(継目が重なること)にならないように、左右順番に野地板を施工します。

妻側の野地板は最後に切り落とします。そうしないと、正確なサイズに収まりません。

妻側の野地板は最後に切り落とします。そうしないと、正確なサイズに収まりません。


墨ツボで墨付け(墨線を引く)します。

墨線に沿って、丸鋸の刃を切厚より大幅に出して、切り落とします。

妻側に破風板を施工します。

両サイドの妻側を切り落とした状態です。


軒先に鼻隠し板を施工します。


今回は手元にあったルーフィング(屋根下地材)を使用しました。ここでブルーシートを張っても良いです。軒先から、野地板などを使っておさえて、風でまくられないように注意しながらタッカーで留めていきます。

左右の軒先側からルーフィングを張っていき、最後に棟に張り付けます。こうすることで水が切れます。タッカーのみの固定では風で剝がれてしまうので、胴縁などの材で継目から30mm程度上にビスで固定します。

妻側も破風板の上からルーフィングを胴縁材で固定します。

軒先側も鼻隠しに胴縁材で固定します。





壊れた壁もなるべく建材を使用しないで、可愛く、楽しく補修します。

水が入り込まない様に下から重ねて施工してください。

飛ばされてしまった、扉も新調しました。

瓦も割らずに降ろせば、再利用できます。

杉皮は果樹の根元に敷いて、雑草の抑制にマルチとして再利用する予定です。分別することで再利用が可能になります。自然素材の建築では埋め立てるしか選択肢の無い建材とは異なり、自然に戻すことができます。

桟木などの木材は薪ストーブの燃料や焚き木の時に再利用する予定です。自然素材の建築では埋め立てるしか選択肢の無い建材と異なり、自然に戻すことができます。

自然建築の第一人者である光風林の筒井氏に指導、監修をいただき、仲間と共に自力建設をした自然食品店 Abyissinia(アビシニア)。自然素材で造られた自然に還るお店です。台風の被害も無く、ほぼ無傷でした。


