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マッツ村松|トシ★細井の日記


マッツのことばかり考えてしまう。大型連休のど真ん中、5月4日のマッツを偲ぶ会に参加すれば気持ちも落ち着くだろうと思っていましたが、やはり昨夜も夢にマッツが出てきて、今日もマッツのことをボ〜〜ッと考えてしまう。マッツ、恐るべし。

こんな時はいつだって気持ちを文章に残すに限る。

マッツは高2の冬だか、高3の春に美術予備校(ふな美)で出会った。それから私たちは3浪したので、たっぷり4年間、17から21までよく一緒にいたと思う。
年頃なので将来の夢や恋愛話はもちろんのこと、予備校終わりにバスケをしたり、サボって雀卓を囲んだり、ちょっとした言い争いや仲違いもしたと思う。同級生の中で殊に優しく、熱血漢でピュアなマッツに、ひねくれ浪人生の私は少し残酷ないじり方をしたこともあったように思う。
マッツは「作家(現代美術家)になる」という夢を持っていて、私は映画監督になりたいと思っていた。

マッツがアサビ(阿佐ヶ谷美術専門学校)に入った年に、グループ展なるものを2回ほどした気がする。アサビで打ち合わせをして、東中野のギャラリーでやったような。東銀座でもう1回やったような。私が美大生の端くれとしてグループ展をしたのはその2回だけだったような・・

その後は会わなくなり、2000年に大学を卒業。新卒で映像編集会社に入ったけどひと月で辞表を出し、ホームページ制作会社にバイトで拾われて、鬱々悶々として、彼女もいなくて、それでもなんとなく仕事を覚えて、30前ぐらいのヒマな時にマッツに声かけられて、マッツと仲間たちが行っているパフォーマンスを3回ぐらい見に行った気がする。代々木公園。「その活動をホームページにまとめよう、俺やるよ」と言ったところ「そんなことしなくて良いから、細井さんもなにかパフォーマンスをしてください」と別の人(橋本)に言われて、それっきりになった気がする。それがおそらく2003年か2004年。その後10年ほど会っていない。

腐れ縁のように感じていた仲も、ふな美を離れると、両手で数えるほどしか会っていなかったのである。

京王線仙川駅でばったり会った時、マッツは女性(のちの奥様)と一緒にいて、でも仕事中でほとんど会話できず、奥様曰く、おそらくそれは9年前。そして2014年から9年経った4月1日、マッツはくも膜下で亡くなった。訃報を聞いた夜、ポロリポロリと2〜3粒、涙を流したように思う。夢にも出てきた。夢の中で私はふな美にいた。おそらく第6アトリエ。収納棚の中のパネルを次々と引き抜いては戻していた。そして次に引っ張り出したパネルが木炭紙大のマッツの自画像だった。なぜかバレリーナの恰好をした笑顔のマッツと産まれたばかりの赤ん坊のマッツの構成デッサンだった。それを見て「マッツゥゥ!!」と声にならない叫び声を上げて目を覚ました。涙は出ていなかった。

これは仲間内で酒を飲まなければならないと思った。すでにお葬式は済んでいたけれどマッツの話をしたい。船橋、加賀屋での飲み会を企画していたところ、マッツのアサビ時代の友人たちが弔問の機会を作ってくれた。
マッツを偲ぶ会。そこにはふな美のグループとアサビのグループと多摩美日本画のグループとアサビ助手時代のグループがいた。ふな美グループにとっては愛すべきイジられキャラだったマッツ。そんなマッツを頼れる兄さんとして、アサビ時代以降の友人たちは滲み出る敬意と感謝の言葉を語っていた。マッツの訃報を耳にした時、人の一生の儚さに震えたけれど、その日のいろんなマッツ関係者の証言を聞くと、悪くないなマッツ、羨ましいなマッツ、と思った。
当時の夢を叶え、現代美術家としてしぶとく活動していたマッツ。そんなマッツは後輩たちの活動を一歩引いた立場で、大人のコネクションをフル活用して支えていたようです。カッコよいよ、マッツ。

4月1日、土曜日。その日は奥様とふたりで外出予定だったそう。朝から頭が痛いということでマッツはいつもの偏頭痛と思い「外出遅らせても良い?」と相談。奥様も快諾し、2階のベッドで休んでいたそうです。お昼になっても降りて来ず、13時になっても降りて来ないため、布団をめくったところ、大変な事態になっていると思ったそうです。その日、穏やかに話しをしてくれていた中で「もっと早く気付けていれば、様子を見に行けば」と語ったところに自分を責めるような、悔いの残るような声色が伝わってきました。奥さん困らせて、マッツ。

マッツのご自宅は趣味良く整っており、ここでマッツは暮らしていたのか、と眺めた。庭先にズッシリと積んであるウッドデッキの材が哀しかったけど、祭壇にあるマッツの遺影はロン毛チリチリで、あの笑顔で、白い服着て、イエスキリストみたいだった。


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